犬とのコミュニケーション

飼い主と愛犬との主従関係が大切な理由

犬を飼育するとき、しつけだけは絶対にする必要があります。

これには一切例外がありません。

犬のしつけの基本はまず、あなたの愛犬との間で主従関係を作るところから始めます。

なぜ、このステップが重要で、絶対に外せないのかというと、人間社会で共に生活している以上、あなたの大切な愛犬をリスクから守り、他人に迷惑をかけないようにするために、飼い主と犬の間に一定のルールが必要だからです。

しつけは、決して人間の身勝手などではなく、犬のためでもあるのです。

第一段階として飼い主と犬の上下関係を明確にさせ、飼い主がボス(リーダー)だということを理解させることが大事です。

飼い主が自分と対等であると思わせてしまった場合、愛犬は飼い主の言うことを聞きません。

愛情をもって先導するためには、リーダーであることが求められます。

ルールを守れないと周囲の方に危害をもたらし、吠えてばかりでやかましいだけの、人間にとって極めて迷惑な存在と化してしまいます。

かけがえのないペットを手放さざるを得ない事態を回避するためにも、きちんとしつけをして、人との共同生活が出来るようにすることをおすすめします。

なお、少し長くなるかも知れませんが大切なお話をさせていただきます。

最新の学術的研究では、犬は人間に対して誰かが群れのリーダーとなるような主従関係(上下関係)を求めおらず、必要なのは対等な「信頼関係」であって、従来言われてきた主従関係を作ろうとする行為は間違いであるとする意見があります。

その見解自体は否定しませんし、また、こういう意見が出てきた背景としては、従来の古い考え方に属する一部のドッグトレーナーらによる「犬への体罰の正当化」に対する心理的反発がその一つとしてあると考えられます。

ただ、そういう意見を言う人の間では「主従関係」イコール「犬への暴力容認」という図式が出来上がってしまっている感は否めないと思います。

しかし、本来、主従関係というのは、犬が人間社会で共に生きてゆくために適応させるために必要なものであり、それは決して犬への暴力を容認するという意味のものではありません。

彼らとしては、従来の「主従関係」という言葉そのものが「しつけのための犬への暴力容認」であるという固定概念にとらわれてしまっているからこそ「信頼関係」という言葉に置き換えようとしているだけであり、結局「主従関係」も「信頼関係」も、固く言うか、柔らかく言うかのニュアンスの違いだけであり、犬を人間社会に適応させるためのしつけという観点から見た場合、その本質としてはほとんど同じものなのです。

いずれにせよ、もともとこのサイトでは犬との主従関係を確立するのに体罰は推奨していませんので、犬に上下関係の序列意識が有ろうと、無かろうと、しつけの仕方が大きく変わることはありません。

以降、このサイトでいう「主従関係の確立」とは、その同義的概念として「信頼関係の確立」も含むものという前提のもとでお話を進めさせていただきます。

犬との主従関係を確認するための8つのチェックポイント

リードを引っ張って拒絶する柴犬

今あなたと、あなたの愛犬との間ではどのくらい主従関係が出来ているでしょうか?

現在の主従関係の確立状況を把握するためのチェックポイントがあります。

それでは、さっそくチェックしてみましょう。

チェックポイント1 愛犬の名前を呼んでみよう

まずは、あなたの愛犬の名前を一回だけ呼んでみてください。

いいですか?名前を呼ぶのは一回だけですよ。

愛犬がすぐに反応してあなたの元に来るならひとまず合格ですが、何回も名前を呼んで、ようやくあなたの元に来るようでは主従関係が逆転してしまっていることが考えられます。

たとえ、あなたの愛犬がおもちゃで遊んでいたり、別のものに興味を示している時であっても、あなたが名前を一回呼べば、すぐにあなたの元に来ることが重要です。

チェックポイント2 犬の体を触ってみよう

犬は、普通の場合、信頼関係が出来ていない人に体を触られるのを嫌がります。

とくにチェックする点は足先と口元です。

ここに触れても犬が嫌がる素振りを見せないようであれば、まずは信頼関係が出来ていると考えてもいいと思います。

チェックポイント3 犬を仰向けにしてお腹に触ってみよう

犬に限らず、ほとんどの哺乳動物はお腹が急所です。

愛犬を仰向けにしてみた状態で、あなたの愛犬はお腹を触らせてくれるでしょうか?

嫌がらずにお腹を触らせてくれるようであれば、犬はあなたを信頼している、もしくは、あなたを自分より主従関係では上位(優位)にいる、とみなしていることになります。

反対に、お腹を触ろうとすると嫌がったり、怒ったりするようであれば、まだまだ主従関係が確立できていないことになります。

チェックポイント4 愛犬に指示を出してみよう

あなたの愛犬に何か簡単な指示(命令)を出してみてください。

例えば、あなたの愛犬の好物のおやつを目の前において「おあずけ」の指示を出して、それに従うようなら主従関係は良好です。

反対に、あなたの指示を無視するようであれば、あなたとの主従関係は出来ていないことになります。

また、食べ物に限らず、犬が別のことに関心を向けていたとしても、主従関係ができているのであれば、リーダーであるあなたの命令には従うはずなので、いろいろなケースでチェックしてみてください。

チェックポイント5 愛犬のおもちゃを取り上げてみよう

一度、愛犬の好きなおもちゃを取り上げてみるのも、主従関係が確立出来ているかどうかを見極めるチェックポイントとなります。

第三者が、犬の大切にしているおもちゃに近づいただけでも吠えたり、嚙み付いてきたりすることは普通です。

飼い主であるあなたがおもちゃを取り上げようとした場合、吠えたり、怒ったりしないのであれば、愛犬との主従関係はかなり良好だといえます。

チェックポイント6 散歩の時に犬に引っ張り回されていないか確認してみよう

よく、犬との散歩の時に犬にリードを引っ張りまわされている人を見かけますが、あれではとても主従関係が出来ているとはいえません。

あの状態ではまるで犬が人間を散歩させているようなものです。

いつ、いかなる時も飼い主である人間がリーダーであるべきです。

チェックポイント7 犬が飼い主に向かって吠えないか確認してみよう

愛犬が、飼い主であるあなたや、あなたの家族に向かって吠えるようなことが無いか確認してみましょう。

例えば、犬が食事や散歩をねだったりするときに「吠える」という手段で訴えてきた場合には、犬は飼い主や家族を自分よりも下位であるとみなしている可能性が考えられます。

こういった場合、ついついそれに従ってご飯を与えたり、散歩に連れて行ったりすると、犬はますます自分が優位であると思い込んでしまうようになり、この場合も主従関係が逆転してしまいますので注意が必要です。

チェックポイント8 犬が背中やお腹に乗って来ないか確認してみよう

部屋の中であなたが寝ている時、あなたの愛犬がお腹や背中に乗ってくることは無いでしょうか?

もし、乗ってくるとすれば主従関係が逆転していると考えた方がいいでしょう。

犬は、決して自分のリーダーの上に乗ったりはしません。

乗ってくるということは、あなたのことをリーダーとは見なしていないということになるからです。

大型犬のみならず、たとえそれがどんな小型犬であったとしてもまったく同じです。犬は猫とは違うのです。

可愛らしいからと、その行為を許してしまうと、犬はあなたのことをますます自分の下位であると思い込んでしまいます。

犬との主従関係のチェックポイントまとめ

本当はチェックするべきポイントは他にもあるのですが、上記した代表的な8つのチェックポイントが犬種を問わず当てはまる、最も一般的な項目であるといえます。

あなたはチェックされてみていくつ当てはまりましたか?

7つすべて合格であれば、ほぼ間違いなく、どのような場面においてもあなたがリーダーであり、主従関係は完全に確立されている可能性が極めて高いです。

不合格が一つでもあれば、これからすべてに合格できるように主従関係を確立させていきましょう。

犬との主従関係を確立するための3つの基本トレーニング

それでは、ここからはいよいよしつけの第一歩である主従関係を確立していくための3つの基本トレーニングを行っていきます。

トレーニングとはいっても簡単なものなので、トレーニングのために特別に時間を取るというよりは、いつもの日常生活を通してのトレーニングなので、少し意識を犬に傾けるだけでOKです。

それでは早速始めましょう。

基本トレーニング1 決して犬の要求に応じない

まずは、犬がいろいろなことをあなたに対して要求してきても、それにいちいち応じないようにしてください。

犬は、お腹がすいた時や、散歩に出たい時、遊んでほしい時にいろいろ要求してくることがありますが、それに応えていたのでは犬がリーダーになってしまいます。

食事も散歩も、犬のペースに合わせるのではなくあなたのペースに合わせて決めてください。

人間が決めた時間にご飯を与え、人間が決めた時間に散歩に連れていき、人間が決めたときに犬と遊ぶのです。

それ以外のときに犬がどれだけ吠えまくっても一切無視しましょう。

ただし、うるさいからと言って暴力は絶対にいけません。

ただひたすら犬を無視してください。

祖先が、もともと群れで生活してきた犬にとっては、群れの中で無視される精神的ダメージはとてつもなく大きいのです。

自分がどれだけ吠えても無視されると分かったとき、自分が群れのリーダーではないことに始めて気付いてくれるでしょう。

基本トレーニング2 散歩のときは飼い主が先導する

あなたが決めた時間に犬を散歩させましょう。

ただし、今までのように犬に先導させてはいけません。

先導するのはあくまでも飼い主であるあなたです。

犬ではなくあなたが行きたいと思う道順で犬を先導してみてください。

正しい散歩のさせ方ポイントとしては、決して犬が飼い主の前に出て歩かせないように注意してください。

もし、愛犬があなたを先導しようとしたら、あなたはそのまま180度ターンして反対の方向に進みましょう。

そうすれば、常にあなたが犬を先導していることになります。

犬のリードはいつもより短めに持つとやりやすいと思いますが、訓練用の体全体を覆うハーネスを犬に装着すれば犬の首を絞めてしまう心配もありません。

基本トレーニング3 家に入るときは飼い主が先に入る

散歩が終われば自宅に戻りましょう。

ただし、この時も犬を先に自宅に入れてはいけません。

犬を先に家に入れてしまうと、犬は家を自分の縄張り(テリトリー)だと思うようになります。

テリトリーを治めるものがリーダーとなりますので、犬からすれば、ここは自分のテリトリーであり自分がリーダーだと思ってしまうのです。

なので、家から出る時も、家に入る時も常に飼い主が先導するようにしましょう。

犬との主従関係確立のためのチェックポイントまとめ

いかがでしたでしょうか?

主従関係の確立といっても、特別な訓練を必要とするものではなく、普段の犬と接するときの飼い主の行動の積み重ねであることがお分かりいただけると思います。

まずは、この訓練を30日間毎日繰り返してみてください。

犬の訓練で必要なのは、繰り返しによる条件付けです。

人間同士であれば、コミュニケーション手段として言葉が通じるため、普通の場合一回話せば理解しますが、犬の場合そうもいきません。

だから、犬とのコミュニケーションを確立させていくには、特に最初は、こうした繰り返しによる条件付けを行う以外方法は無いのです。

ある程度主従関係の確立が出来てくれば、次はいよいよしつけに入ります!

これも、最初は簡単なアイコンタクトの練習からスタートしますので、次回以降を楽しみにしていてください。